土地売買に必要な書類・経費・税金は?

土地の売買は高額な取引で、個人では一生のうちに何度も経験することではありません。土地の購入や売却を考えている人は、書籍やインターネットなどで基礎知識を得たり、専門家の手を借りたりすることが大切です。この記事では、土地の購入希望者と売却希望者の両者が必要になる書類、経費、税金について解説します。

土地を買う人の手順

家族構成やライフスタイルに合わせ、どのような広さや間取りの家が必要かを考え、土地探しを開始します。以下が一般的な土地購入の流れです。

  1. 建てたい家に必要な土地面積を調べる
  2. 購入したいエリアの価格相場を調べる(インターネット検索が便利)
  3. 予算を決める
  4. 不動産会社から物件を紹介してもらう
  5. 現地の見学
  6. 価格交渉
  7. 購入申込み(買付証明書の提出)、手付金支払い、売買契約書締結
  8. 売主から買主への引き渡し、所有者移転登記

土地を買う人が準備する書類

  • 身分証明書(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
  • 印鑑証明書、実印(売買契約書に必要)
  • 収入証明書(源泉徴収票、納税証明書、確定申告書の控えなど)

土地を購入する際の経費

  • 解体費用:古家付きで土地を購入した場合は買主の負担となる
  • 手付金:物件価格の5~10%を売買契約時に支払う
  • 登記費用:土地購入後に行う所有権移転登記の費用で、通常は買主の負担となる
  • 司法書士への報酬:所有権移転登記、抵当権設定登記の手数料
  • 仲介手数料:売買契約成立後、仲介不動産会社へ支払う手数料                             

土地購入者が支払う税金

  • 印紙税:売買契約書に収入印紙を貼付し納税
  • 不動産取得税:購入した土地の評価額に応じた金額を納付書にて支払う
  • 登録免許税:固定資産税評価額×税率
  • 固定資産税、都市計画税:土地引き渡し日以降の固定資産税や都市計画税を日割り計算し、売主に支払う

土地の値引き交渉について

購入希望の土地価格が予算を上回っていたり、相場より高いと感じたときには値引き交渉が可能です。売主は値引きを前提に、やや高めの価格設定をしていることもあります。値引き交渉の注意点は以下のとおりです。

  • 交渉額は価格に対して1~2割(50~200万円程度)を目安とし、極端に大きな値引き額を提示しないこと
  • 値引き交渉は売主に直接ではなく、仲介不動産会社を通すこと
  • 販売開始から半年以上経過している土地は交渉しやすいので、販売開始時期に注目してみること(売主も早く売りたいので交渉に応じてもらいやすいため)

土地を売る人の手順

  1. 売却する土地の価格相場を知る:インターネット検索や複数の不動産会社に査定を依頼する
  2. 仲介不動産会社との契約(種類は①専属専任媒介契約 ②専任媒介契約 ③一般媒介契約の3種類)
  • 専属専任媒介契約:依頼者は物件の媒介を他の宅地建物業者には依頼できず、自分で見つけた買主と契約締結ができない
  • 専任媒介契約:依頼者は物件の媒介を他の宅地建物業者に依頼はできないが、自分で見つけた買主と契約締結ができる
  • 一般媒介契約:依頼者は物件の媒介を他の宅地建物取引業者にも依頼することができ、自分で見つけた買主と契約締結ができる
  1. 土地が売れるまでかかる費用、必要な管理
  • 家を解体し更地にして売る場合

解体費用が発生しますが、土地の売却価格は家を残したままより高く設定できます。ただし更地にすると家が残っているときより固定資産税が高くなります。

解体費用は木造で1坪あたり3~5万円(50坪で150~250万円)、鉄骨造で1坪あたり4~6万円(50坪で200~300万円)が目安です。複数の業者から見積もりをもらい、比較して契約します。

  • 家を残したまま売る場合(古家付き土地)

解体費用は必要ありませんが、売却価格は更地より低くなるのが一般的です。古家のイメージが悪いとマイナス要素となり、買い手がつきにくいこともあります。

  • 購入予定者が見学に来た際に印象をよくするため、定期的な土地の除草や清掃を行います。不動産会社に「売地」の看板を設置してもらい、必要があれば砂利を敷くなど整地をします。
  • 買い手が見つかるまで固定資産税、都市計画税の支払いがあります。

土地を売る人が準備する書類

  • 身分証明書(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)、住民票、印鑑証明書、実印
  • 登記完了証:相続で得た土地などは「所有権移転登記」をしておくこと(亡くなった人の名義のままでは売却できないため)
  • 登記済権利書または登記識別情報:登記名義人が記載されている
  • 境界確定図:土地周辺の近隣との境界を定めた図面
  • 固定資産税納付通知書、固定資産評価証明書

土地を売却する際の経費

土地を売却するには、以下の経費がかかります。土地の譲渡益が出た場合は確定申告に必要なため、支払った費用の領収書は大切に保管しておきます。

  • 解体費用:更地にして売る場合(整地も含む)
  • 境界確定測量費用:土地の境界確定図がない場合は土地家屋調査士に依頼して作成してもらう
  • その他の費用:土地の維持管理のための費用(除草、清掃など)、土地が遠方であれば交通費や宿泊費など
  • 仲介手数料:売買契約成立後、仲介不動産会社へ支払う手数料

土地売却者の税金

  • 印紙税:売買契約書に収入印紙を貼付し納税
  • 譲渡所得税(所得税・復興特別所得税、住民税):確定申告を行い、売却金額から売却にかかった費用を差し引いた金額に対し課税されるので期日までに納税

土地の売買契約から引き渡しまで

売主と買主の条件が合えば、売買契約を交わします。売買契約は仲介不動産会社に売主と買主が赴き、顔合わせをして行うのが一般的です。売買契約締結の前に、宅地建物取引士による重要事項説明(重説)を聞く必要があります。

重要事項説明書は、売買される土地に関する重要事項が細かく記載された文書で、宅地建物取引業法第35条に「宅地建物取引業者の義務として宅地建物取引士により書面を交付して説明しなくてはならない」と定められています。

重要事項説明書の内容に問題がなければ買主は署名・押印し、売買契約書の締結に進みます。不動産仲介業者が作成した売買契約書に売主、買主が署名・押印します。

売買契約書に記載される主な内容は以下のとおりです。

  • 不動産の表示:土地の所在、土地面積
  • 売買代金および支払い方法:土地の売買代金、手付金、残代金支払い期限、手付解除期日など
  • 所有権移転と引き渡しの時期

「手付金」とは、売買契約時に買主から売主に土地代金の一部を支払うものです。手付金の額に法的な定めはなく、売買価格の1割程度が一般的とされています。

「手付解除期日」とは、売主、買主が売買契約を解除(解約)できる年月日を指します。契約を解除する際には、売主からの解除は買主から受け取った手付金の2倍の額を相手方に支払い、買主から解除する場合は売主に支払った手付金を放棄します。

土地の引き渡し日は、売買代金から手付金を差し引いた残代金が買主から売主に支払われた日、つまり売主が代金の全額を受領した日になります。所有権も売主から買主へ移転し、売買が完了となります。

なお、引き渡しは土地の所有権を売主から買主に移すことを指し、所有権移転とは土地の登記名義人を売主から買主に変更することです。土地売買契約を締結すれば自動的に登記名義人が変更になるのではなく、法務局等の登記所で申請が必要です。所有権移転登記の費用は、買主の負担となるのが一般的です。

最後に仲介不動産会社へ売主、買主ともに仲介手数料を支払います。

まとめ

土地の売買は、多くの手続きや費用・税金がかかることを理解することが重要です。土地を購入する場合は、予算を決めてから物件探しを始め、慎重に価格交渉を行いましょう。また、売却する場合は、適切な不動産会社と契約を結び、土地の状態や売却方法を検討しましょう。最終的には、売買契約の締結から引き渡しまで、丁寧な手続きと確認が必要です。土地の売買は大きな取引であり、慎重な準備と専門家の助言を得ることで、円滑に進めることができます。